編集長が行く!

猪瀬先生編#01 描くことの価値

TANOKURA100人展やフリーマガジンTANOKURAを運営するSeedersの下田編集長が、会いたい、話を聞きたい、と思う人に会いにいきます!

今回お会いしたのは、栃木県大田原市で「深川アートスクール」を開いている猪瀬辰男先生。50年以上絵画教室を続けている先生と、絵を描くことで得られる経験についてお話ししてきました。

#01 描くことの価値
#02 絵を教えない絵画教室

絵を「教える」ということ

編集長
編集長
私たちは今、キッズアカデミーという企画を考えていて、子どもたちにさまざまな経験をする機会を与えられたらいいなと思っています。

そんなときに、子どもを対象とした絵画教室をされている猪瀬先生を知りました。先生は、どんなきっかけでこの絵画教室を始めたんですか?

猪瀬先生
猪瀬先生
僕のもともとの仕事は飛行機を作ることでした。でも、あるとき自分の生き方について考えて、自分には絵しかないと思って絵画教室を始めることにしたんです。
編集長
編集長
もともとデザインや絵のお仕事をされていたわけではないんですね。
猪瀬先生
猪瀬先生
はい。僕は絵を習ったことはないんです。でも今こうして絵を描いて生きているから、絵画教室として子どもたちに教えることにはなんの意味もないんじゃないか、という気持ちがありました。

だから教室をやるにあたって、やって来た子どもたちや保護者に、絵は教えないという思いを伝えました。

編集長
編集長
絵を「教えない」ことで、伝えたいことがあったんですね。「教えない」教室で、子どもたちはどうやって過ごしているんですか?
猪瀬先生
猪瀬先生
まずは、子どもがこの教室に来たら、絵を描いてみたいなって思うような雰囲気を作っておくんです。おもしろいものや興味を引きそうな画材を用意して。このやり方が気に入った子は、長く通うんですよ。

本当に良いものを知る

編集長
編集長
教室には、子どもたちの気に入りそうな珍しいものがいっぱいありますね。先生は、以前いろいろな国に行かれたことがあるそうですね?
猪瀬先生
猪瀬先生
そうなんです。僕は教室を始める前に、本当にいいものが何なのかを知るため車でヨーロッパじゅうをめぐりました。
編集長
編集長
海外のものもたくさん置いてありますね!
猪瀬先生
猪瀬先生
生徒が興味を持ちそうなものを並べているんです。みんなこれを見て絵を描いたり、自由に遊んだりしています。でも子どもたちにとってはこれがどこの国のどんなものだとかは関係ないから、どんどん壊されちゃう(笑)
編集長
編集長
子どもはそこに興味を持つわけじゃないんですね。先生が一番刺激を受けるものってなんですか?やっぱり旅とか?
猪瀬先生
猪瀬先生
必要だと思ったからあのときは旅をしたけれど、本当は好きじゃないんです。ただぼーっとしているのがいいですね。
編集長
編集長
そうなんですか!そうやって自分に向き合うことで、インスピレーションを得ているんですね。

子どもたちに経験を

編集長
編集長
今の世の中、家族以外の誰かに怒られたり褒められたりする場がなかなかないですよね。私は、そういう場を作りたいと思っているんです。

例えば絵なら、できあがったものに正解・不正解はなくても達成感はある。誰かに見てもらうことを通して、子どもたちが達成感を感じられる場があったらいいな。

猪瀬先生
猪瀬先生
そうですね。学校の授業などで本人が自分の思う完成へ到達する前に、これは正しい・これは正しくないと周りから言われてしまうと、作品の完成を人に決められてしまうんですよね。
編集長
編集長
そうすると、きっと達成感も感じにくくなりますよね。作品が本人のものじゃなくなっちゃう。
猪瀬先生
猪瀬先生
正しい形をとって、正しい色を置けば確かに良い絵になるけれど、実際その組み合わせは無限にあるんです。
編集長
編集長
なるほど、周りの大人にあれこれ言われてしまうと、その選択を強制されてしまうのかもしれませんね。

(つづきます)

猪瀬先生編#02 絵を教えない絵画教室今回お会いしたのは、栃木県大田原市で「深川アートスクール」を開いている猪瀬辰男先生。生徒たちと接するうえで考えていること、気をつけていることをお聞きしました。...
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