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教えたくない栃木の喫茶店 vol.3 カフェリフジ

昔から変わらず、ずっと身近にある安心感。カフェではない、喫茶店に出かけたい。
TANOKURA vol.37特集「教えたくない喫茶店」では編集部メンバーが訪れた栃木県内と都内の喫茶店をご紹介します。今回は、取材で訪れた小山市にあるすてきな喫茶店をご案内します。

最新号 | TANOKURA vol.37「教えたくない喫茶店」こんにちは、TANOKURA編集部です! 初秋の涼しい風を感じる季節に、最新号のTANOKURA vol.37が発行されました。今...

オーナーのこだわりが詰まった癒やしのサロン

計算し尽くされた空間美にうっとり

営業時間は10時から日没まで。その言葉に惹かれて、どんなお店なんだろうとワクワクしながら車を走らせていると、国道沿いに三角屋根のお店を見つけました。お店の周りには木々が生い茂り、森の中の隠れ家的な雰囲気もありつつ、ひらけているので駐車場は停めやすかったです。木々のおかげでしょうか、国道沿いなのにお店に入ってしまえば騒々しい音は全く気にならず、落ち着いた空間が広がっています。

1968年創業のお店はオーナー自ら設計をして、宮大工さんが手掛けてくれたそう。現在まで改装なしというから驚きです。こだわりが詰まった店内にはステンドグラスから柔らかな光が降り注いでいました。L字型になっている店内は、どこの席に着いても落ち着ける空間になるよう、想定して作ったそう。店内を見回せばなるほど、一人で静かに過ごしたい方、おしゃべりを楽しみたい方、どんなシーンにも対応できる席の世界観がありました。

コーヒー豆を閉じ込めたテーブルに海外のお札のような伝票、壁面を飾る煉瓦…一つひとつに目を惹かれてお話を伺ってみると、煉瓦は足利から取り寄せて好みの色になるよう焼いてもらったのよ、と。秋田杉の天板にはバーナーで焼きを入れたり、壁面の塗り方もオーダーしたりしたそうです。

お手洗いもとても広くて驚きました。今でこそバリアフリーだったり、広いのも珍しくないかもしれませんが、50年以上前に作れてしまうセンスが素敵。なんだか目に入るものがいちいち可愛いのです。当時はさぞ目新しい画期的な喫茶店だったに違いないけれど、こうして時が経っても古臭さは感じさせず、懐かしくも新しい空気感がとても居心地がよく、年齢もさまざまなお客さんが次々に訪れるのも納得です。

心温まるおもてなしが素敵なランチタイム

訪れたのはランチタイム。食いしん坊な私はホットサンドにドリンクとサラダ、スープがつくランチプレートを注文。席に座ってほっとひと息ついたら、目に入る季節のオーナメントが心をほぐしてくれます。四季折々で変わる店内の飾りつけや店内の様子はホームページでもアップされているそう。次の季節はなにかな?と考えるのも楽しいですね。ブレンドティーは可愛らしい薔薇柄のティーコゼーとともに運ばれてきました。いつまでも温かいままの紅茶をいただけるのが嬉しいです。

そして衝撃を受けたのがホットサンド。黒胡椒をかけていただくのですが、具に薄切りのリンゴがはさんであって、シャキッとした歯ごたえとジューシーな甘みがアクセントになって後を引くおいしさ!自家製のピクルス、コーンスープの香りもとてもよく、あっという間にお腹の中に消えていきました。

食後のお楽しみには、チーズケーキを。甘さ控えめのケーキは創業当時からレシピが変わらず、長年のファンが多いのだとか。まだ残っている紅茶をミルクティーにすべく追加でミルクを頼んだら、サーブする器が下のお皿まで熱々で感動しました。しかもこだわりの紅茶用のミルクなのですって。コーヒーにはコーヒー用のミルクが用意されているそうです。

食事メニューはサンドイッチのみ。それでも種類豊富で全部食べるには何回通わなきゃいけないのかしら、というくらい。創業当初から食べ物の提供は、コーヒーや紅茶の香りを邪魔しないもの、と決めているそう。「だってコーヒー飲んでるときにカレーの匂いがしたら分からなくなっちゃう」と笑うオーナーはとってもチャーミングでしたが、私はその気遣いに感心するばかりでした。

ドリンクは、コーヒーに紅茶に抹茶、日本茶まであり種類豊富で目移りしてしまうほど。日本茶には茶席でも使われる季節の和菓子をあわせているそうですよ。

オーナーとのおしゃべりも特別な時間

凛とした雰囲気のオーナーは、聞き上手かつ話し上手で時間が経つのがあっという間。お店とオーナーのファンになり、通っていくうちに常連さんになっていく…そんな想像が容易にできてしまうほど、私もファンになりました。

ふと思い立った日にも、特別なことがあったときにも「あ、あそこに行こう」って向かえる場所はそう多くはなく、やっぱり特別なもの。お気に入りの席から見える景色、心に残る会話…大切にしたいことが生まれる場所は、「こんな素敵な場所があるんだよ!」と自慢のようにおすすめしたいけれども秘密にもしておきたい。
そんな複雑な気持ちになってしまう、教えたくない喫茶店なのです。

▼カフェリフジ
栃木県小山市犬塚4-10-15
営業時間/10時~日没まで
定休日/毎週木曜日(不定休で水曜日)
TEL. 0285-22-3988
http://www.madame-hisako.com/

教えたくない栃木の喫茶店 vol.1 恋とカセット10月に発行されるTANOKURAvol.37では、「教えたくない喫茶 」を特集します。冊子に先駆けて、栃木県内の喫茶店をシリーズで3店舗ご紹介していきます。...
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