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建築をたずねて 〜伴工務店「ひらいのひらや」〜

こんにちは。TANOKURAレポーターのyumiです。

冊子版TANOKURAで設計段階から家ができるまでを連載をしている、伴工務店さんの「ひらいのひらや」。ゆっくり時間をかけてつくってきた家が完成したときいて、さっそくおじゃましました。

かぎの手型の平屋、幅いっぱいの縁側とともに

L字型、と言わず、「かぎの手型」と言いたくなる佇まいの平屋。しっかりとした深さの軒は、夏の日差しを遮ったり外壁を雨から守るという効果も。かぎの手の長手いっぱいに設けられた縁側は、外観にすっと一本のラインを生み出して、より洗練された印象を与えます。

直線と円の美しさ

玄関を入り、引き戸を開けると見えるのがこの光景。手前右がキッチン、左がダイニングスペース、そして正面に、小上がりの畳リビングがあります。真ん中に立つ大黒柱は、丸く、スッキリ細めに。八溝杉板が貼られた勾配天井のラインが目線を遠くへいざない、より奥行きを感じさせてくれます。直線と円のバランスがなんとも美しいですね。

雑然とした姿もさまになりそうな、日常風景が見えるキッチン

壁に向かって設置したシンプルなI型の造作キッチンに、ステンレスの天板を貼ったアイランドの作業台。北側の窓は大きめに切り取り、自然光をたっぷりと。目隠しになる植栽をこれから植えて、緑が見える窓になる予定だそうです。ちょうど手が届きやすい高さに設置した棚にお鍋やザルが並び、キッチンや調理台にモノや食材があふれても、それが日常の美しさになりそう。

アイランドの作業台ももちろん造作。板面はシナ素材、取っ手部分はタモ素材にすることで、アクセントとしても使いやすさとしてもひとつ上の仕上がりです。

幅1間の「広縁」の、懐の深さ

この家のポイントはなんといっても、この広縁部分。「広縁」というもの自体、近頃の平面図になかなか登場しない単語かもしれません。子ども部屋と寝室の南側にあたる廊下をこの幅1間の広縁にすることで、「通路」のような「部屋」のような、曖昧なゆとりを生み出しています。こうしてソファを置くことでくつろぎのスペースとして、デスクを置けば勉強コーナーとして、と家族の成長と共にいろんな役割を引き受けてくれそう。

水廻りはスタイリッシュにシンプルに

そしてその広縁の突き当りには、蛇口が2つついたシンプルな造作洗面台。カウンターはモールテックスという左官仕上げです。鏡の上下には自然光を取り込む型ガラスの窓。家全体に無垢の杉材を使用しシンプルながら柔らかな雰囲気が広がるなかで、ここは少しシャープで無機質な素材感をセレクトしたことにより、自然素材のぬくもりとの対比がお互いをよりきれいに魅せてくれているように感じました。

「ひらいのひらや」をたずねて

昔なつかしい田舎の家を想像させてくれた、「ひらいのひらや」。人が住み、ものが無造作に置かれることで、いい感じに散らかしてはまた美しく整う。そんな日々の暮らしが見えるような、建築探訪でした。

この住まいの1年後、5年後の姿も、ぜひ拝見したいですね。住まい手さんらしい暮らしの匂いがする、いい表情を見せてくれそうです。

伴工務店
https://www.ban-k.jp/
栃木県宇都宮市飯田町481
028-648-7326

暮らしと作家活動を両立させる、住み分けを大切にした家づくりおうちを建てた方にこだわりを聞く、「家づくりのひみつ」。今回は、宇都宮市でポーセラーツの作家として活動している「Porcelarts salon NINA」さんのおうちを取材してきました。...
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