編集長が行く!

下田編集長 × ししゅうkabuさん #01

「あの人に会いたい!直接お話を聞きたい!」
TANOKURA100人展やフリーマガジンTANOKURAを運営するSeedersの下田編集長が、いま会いたいと思う人に話を聞きに行きました。

今回お会いしたのは、TANOKURAvol.27の企画「TOP20ARTIST」に選ばれた、ししゅうkabuさん。
母子3人で活動し、ミシン刺繍の小物やアクセサリーを制作、販売されています。今回は、祐子さん(母)とみづきさん(長女)にお話を伺いました。

▼TANOKURA × ししゅうkabu
#01 ミシン刺繍との出会い
#02 お客様の声に応えるものづくり

◆ししゅうkabuさんリンク
Instagram
https://www.instagram.com/shishukabu/
Creema
https://www.creema.jp/c/shishukabu
minne
https://minne.com/@shishukabu

ミシン刺繍との出会い

編集長:手刺繍の作家さんはいるけれど、ミシン刺繍をやっている方はなかなかいないので、ほかでは聞けないようなお話が聞けるかなと思って今回お声をかけました。どのようにして今の活動が始まったのですか?

祐子さん:もともとは家庭科の教員でしたが、母の介護をきっかけに仕事を辞めました。高齢者衣服の研究もしていたことがあり、退職後は母に服を作っていました。私が作った服を着せると母が明るくなったり、周りの人にも服を褒めてもらえたりするんですよ。そこから服飾を仕事にしたいと考えて、型紙やパターンを習いに行くところから始めました。

編集長:女性が子育てや介護をするなかでは、仕事を辞めた場合の収入源が難しいのもあって、やりたいことを続けていくのは簡単ではないですよね。

祐子さん:そうですね。まず高齢者の衣服を持ってイベントに出展したのですが、なかなか売れませんでした。イベントに来るお客様のニーズを意識して、求めているものを作らないと売れないのだということを、そこで感じましたね。

祐子さん:そんななか、那珂川町の広重美術館で、オリジナルグッズを作りたがっていると知りました。そのときに、布製品に刺繍を入れて作ったらどうかと思いつき、業務用ミシンの購入を考えたんです。もちろんかなり高価なものなので、これを始めるならミシンのもとを取らないといけないと思いました。趣味で終わるようなものではないので、これは娘に継がせようと。

編集長:最初から、娘さんに継がせることまで考えていたのですね!そのあとは、どのようにしてご自身でオリジナルの刺繍作品を販売し始めたのですか?

祐子さん:それから2回目のイベントに出ました。そこで、長女(みづきさん)が試しに作ったミシン刺繍の作品が売れたんです。刺繍を入れたくるみボタンのアクセサリーが売れるのを見て、なるほどこういう刺繍のグッズを作ったら良いのだなと思いました。

編集長:お話を聞いていて、祐子さんは商売人だなと感じます。消費者のニーズに合わせようと考えられるところが。

祐子さん:とにかく、業務用ミシンを購入したぶんの元を取ろうという気持ちは大きかったですね。売れるものを作らなければと思っていました。

編集長:好きなことをやって、それがゆくゆくは売り上げになったらいいな、という人は多いんです。でも祐子さんは、ニーズに応えながら自ら売り上げを作れるような、競争に強い人なのだと思います。それから、みづきさんも一緒にやり始めたのですか?

祐子さん:長女は絶対に洋裁を仕事にするだろうと思っていましたし、本人も東京で就職するつもりでいたのですが、最後には刺繍をやってみる、と言ってくれました。

編集長:そうだったのですね。みづきさんは、どうして服が好きになったのですか?

みづきさん:高校の被服部に入ったのがきっかけで服を作ることが好きになり、大学も関連の学部に進みました。ずっと、これを仕事にしたいと考えていました。でも、母が自分で服飾の仕事を始めるために先生に習いに行くと言い出したときには、本当にびっくりしました!

祐子さん:私の実家の時計屋を見ていたので、どこかで修行をしてそれから開業をするというのが当たり前のように思えていたんですよね。そのあと長女が同じ先生に習いに行ったときも、修行に行かせたはいいけれど帰ってきてからやらせる場所がないのでどうしよう、と思っていました。それで、ちょうど募集をしていた高根沢のショップに応募したんです。まずは私が一人でお店をやって、そのうち長女が帰ってきてくれればいいなと思って。

編集長:そういうお考えになれるのがすごいですよね!思い切りが良いというか。

みづきさん:そのときはまだ、私は地元に帰って働くつもりはないのにな、と思っていました(笑)

祐子さん:でも、2017年に始まったその高根沢のショップは、たまたまその時期に帰ってきていた長女にも手伝ってもらっていました。そこでお客様とのやりとりを通して、どんなものを求められているのかがわかりましたね。

編集長:祐子さんには、自分自身のビジョンに人を巻き込む力がありますよね。教壇に立たれていた経験も、お客様のニーズを拾い上げるところに活きるのだろうなと思います。商売として成立させるために、ニーズに合わせて作るものを変化させられるというのがすごいところです。

編集長:みづきさんと一緒にやってから、世界が広がったと思ったことはありますか?

祐子さん:イベントへの出展は、私にとって新しい世界でした。作家さんってこんなにたくさんいるんだ!とびっくりしましたね。

みづきさん:私はハンドメイドイベントが好きで行ったことがあったので、自分たちも出店できるかなと思って提案しました。

祐子さん:それから、インスタなどのSNSでの宣伝も新しい世界でした。どちらも、私ひとりではできませんでしたね。

編集長:今の作家さんたちのすごいと思うところは、イベントに出ながらSNSを利用した販売ができること。作品ももちろんですが、やっぱり人にファンがつくんです。私たちも、編集部の人柄が見えるようなものを作りたいねと話しています。

(つづきます)

  • 制作スペース
  • ミシン刺繍
  • 名入れ靴下の出来上がり
  • 刺繍用データ作りは難しそう
  • みづきさんは手慣れたご様子
  • 3Dプリンターみたい!
  • 刺繍機の前で

 

下田編集長 × ししゅうkabuさん #02TANOKURA100人展やフリーマガジンを運営するSeedersの下田編集長が、いま会いたいと思う人に話を聞きに行きました。今回お会いしたのは、ミシン刺繍の小物やアクセサリーを制作、販売しているししゅうkabuさんです。...
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