LIFESTYLE

手づくり作家インタビュー

2016.07.11

足踏みミシンと出会い、子どもと暮らして、今の作品がある
子どもとの毎日が特別になるような作品を届け続けたい

家庭科教諭として高校に勤務の後、20代後半に青年海協力隊に参加し、中国の少数民族の地域にて家政隊員として2年間活動。2007年結婚、専業主婦に。2013年、baby,kidsの布小物作家として100人展デビュー。現在、3児の母をしながら、毎日の育児をヒントに作品を製作中。
  • 1975年/栃木県に生まれる

  • 2007年/結婚

  • 2013年/100人展にて作家デビュー

  • 2015年/100人展TOP20に選出される

布小物作家になるまで

中学生の時から家庭科教諭になることが夢でした。それを叶えた後、20代後半に、もう一つの夢であった青年海外協力隊に参加、2年間中国に行くことになりました。今思うと、その現地での足踏みミシンとの出会いが、作家になる最初のきっかけとなったのです。

キコキコカタカタという心地よい音を奏でながら自らの足と手で物を生み出すこの機械に私は魅了され、帰国後すぐに中古のものを購入、ハンドメイドにいそしみました。自分に子どもが生まれたことをきっかけに、子どものものを足踏みミシンで作るようになり、友人に誘われ100人展に申込み。それがmanateeとしての作家活動の始まりでした。

仕事と暮らしと環境

長男が生まれた時に家を建てることになって、それならばせっかくの足踏みミシンが生かせるようにと、リビングを見渡せる一角にミシン部屋を作りました。ここならば、子どもたちが遊んでいたり、絵本を読んでいたりしているのを、眺めながらできます。
現在は足踏みミシンのほかに職業用ミシンとロックミシンも仲間入りし、使い分けながら製作活動をしていますが、最近木工作家さんに作っていただいたイベント用の屋根付き什器がお気に入りで、それをリビングに飾り、足踏みミシンを移動させて日々制作しています。
今までは、子どもたちが学校や幼稚園に行っている間に作っていましたが、3人目が生まれたばかりでなかなかミシンを踏んでいる時間がとれません。そこで出番なのが夫ですね(笑)。子ども好きなのもあって、普段の遊び相手だけでなく、制作の追込み時期やイベントのときなどは、丸1日子どもの相手をしてくれているので、本当に感謝しています。また、長男(小学1年)と長女(年少)は前日準備の時に、荷物を運んでくれたり、作品を並べてくれたりと手伝ってくれるようになり、家族の理解があって助かっています。

作品についての想い

自らが子育てをする中で感じる、「こんな物があったら便利だな」、「これを子どもに持たせたら可愛いだろうな」という想いを作品にしています。一生の中で考えると、子育ての期間は限られています。その貴重な時間を、家族みんなが笑顔で過ごせたらいいな、と思うんです。ひとりでも多くの方が、そんな時間を過ごせるように、私ができることは何だろう?と考えたときに、私が作る布小物のテーマは自然と決まってきました。「子どもには可愛らしさとワクワクを。ママには使いやすさと優しさを。そして親子で一緒に過ごす楽しさを。」

制作や販売を重ねる中で、また私自身が子どもたちと毎日過ごす中で、作品への想いが少しずつ変わってきました。今までは、子どものお出かけを特別なものにしたいという想いを軸に作ってきたのですが、ここのところ、「特別なお出かけ」のためでなく、普段の1日1日が特別な日になるような作品になればいいな、と思うようになってきたのです。今年からは「毎日がおでかけ」をテーマに、楽しく丈夫な作品づくりをしていこうと思っています。

今後のこと

作品がお嫁入りして、嫁ぎ先のお客様に喜んでもらえることが、何よりもうれしいことです。ただ、イベント出展だけだとどうしても趣味としてやっていると思われがちなので、自信を持って仕事ですと言えるぐらいになりたいと思っています。そのためには、たくさんの人に手に取っていただけるよう作品の幅を広げたり、アイディアを取り入れ続けないといけないですね。
 
最近、今までにないシンプルなデニム生地を作品に取り入れたのですが、これも今までとは違うお客様にも手に取っていただきたいな、という想いから。レパートリーを増やせるようにアンテナを張って、「毎日が特別」になる作品を作り続けていきたいです。作家名のmanateeはもともとmana(名前の一部)-tea(お茶)の音から付けたもので、お茶を飲むように急がずゆっくりと進んでいこうという意味を持っています。子どもたちの成長と共にmanateeもゆっくりと成長し、そして足踏みミシンのように、10年後・20年後・30年後も存在し続ける作家でありたいと思っています。

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TANOKURAレポーターの感想
キコキコとゆっくり縫い進める足踏みミシンは、子どもたちへの想いを丁寧に形にしていくmanateeさんの作風にぴったりですね。今まで着実に自分の夢を叶えられてきたように、今後こうなりたい、と今胸に抱いてらっしゃることも、少しずつ確実に形にされていくのだろうなぁと、インタビューを通して感じました。
ライター:tomoko
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