こんにちは!TANOKURA編集部です。
草木芽吹く春、発行したTANOKURAvol.35では 「すてきな人の習慣」を特集しました。編集部がすてきだなと思う方、憧れる方にお話しをうかがい、編集部でも生活を見直すきっかけとなりました。
取材ではいろいろなお話をうかがいましたが、誌面でご紹介できるのはほんの一部。そこで、誌面にのりきらなかったこぼれ話をご紹介します!
今回ご紹介するのは栃木市で工芸とカフェのお店「物華」を経営する鯉沼俊さん。物腰がとてもやわらかく、穏やかに話す鯉沼さんは、お話しているとこちらの心もほぐれてくるような方でした。
お店の扉には真っ白な暖簾。麻の素材も、飾らない店主・鯉沼さんの人柄を感じさせます。
お店に入って感じるのは、きちん、と整えられた空気でした。
家では整頓は潔く諦めています
――暖簾の白がまぶしいですね
ありがとうございます。暖簾も栃木の作家さんの作品なんですよ。
――誌面に載っていたお掃除の道具もそうでしたけど、とにかく何もかもが鯉沼さんのお気にいりの作品で構成されているんですね。お店の建物もかなり自分でつくった部分があるとか。
はい、だいぶやりましたね。大工さんと一緒に、下地のボードを貼るところとか、2階の床を張るところとか。左官は職人さんにお願いしましたけど。
――お店に入ったとき、すごく直線的な空間だなと思いました
建築の勉強をしていたせいもあるかもしれませんが、直線が好きなのかも。整然として精錬されている気がします。
――ほんとに、すごく整頓されててすっきりしていますよね。ご自宅もそうですか?
いやいや(笑)1歳半の子どもがいるんですけど、整頓してもほんとに意味がないですよね(笑)もう家では潔く諦めて、どんどんなんでも出していいよってしています。
――小さなお子さんがいると整頓は無理ですよね(笑)家でもほうきでちりとりを使っているんですか?
家では掃除機を使っていますよ。そんなにこだわりがあるわけじゃないんです。店でもそのうちルンバが走り回っているかも。
子どもが生まれて変わった、物の選び方
――仕事と日常生活はやはり別ですか?
自給自足しながら創作活動をして、仕事も生活も一緒にする作り手の人も増えてきていると思うんですけど、僕はそういう憧れもありながら、職種的にそれは無理かなと思ったんです。街も好きですし。
お店には自分の生活の流れがそのまま出ているような気もしています。毎日の繰り返しというか、暮らしと同じかな。お昼ごはんも、裏のキッチンでお米を炊いて、おむすびを握って食べてますよ。
――おむすびいいですね。ちなみに好きな具材は?
僕は梅干しですね!おむすびで有名な佐藤初女さんていらっしゃいますよね。その方から教わったという方に教えてもらった握り方でつくっています。おいしいですよ。
――お子さんが生まれて、物の選び方が変わったりしましたか?
変わりましたねー。子どもが生まれてから、古い物を買わなくなりました。子どもってエネルギーがすごいじゃないですか。あれだけエネルギッシュなものを見ていると、古い物が褪せて見えてしまって。
子どもが生まれた頃に物華の店づくりも始まったので、店用にそろえる物にも影響しました。ものすごく古道具感のある物は選ばなかったですね。
――物にこだわりのある方って、お子さんがキャラものとか着るのをいやがるイメージがありますが
いや、ぜんぜん。ヒーローものでもアニメでも、好きな服を着てくれたらいいですよ!
――お話していて、ほんとうに穏やかなんですけど、怒ることはあるのでしょうか?
めったに怒りませんが、子どもに車の中で40分間泣かれたときはこっちも泣きそうになりました(笑)基本、自分も怒らないし、怒らない人が好きですね。
撮影中のひとコマ
お掃除風景を撮影中。表の明るさとは違って、お店の中はほどよく暗く、落ち着いた別空間でした。
物華店主鯉沼俊さん profile
工芸品のギャラリーやカフェ勤めを経て、工芸と喫茶のお店「物華」を2021年にオープン。16席ほどの喫茶室のほか、日本各地からセレクトした器や雑貨の販売も行う。店舗は古い土蔵を改装し自らリノベーションした。
▼物華
栃木市嘉右衛門町1-12内
Instagram▷@bucca____
webサイト▷https://www.bucca.store/